著:山根明弘
定価:本体1300円+税
判型・体裁:四六判/128ページ
発行年月:2007年9月
ISBN978-4-378-03899-5
NDC481
品切れ・重版未定です。
数百ひきのノラネコを個体識別し、その行動半径、なわばり、血縁関係をていねいに調査・研究していくなかで、意外な事実が浮かび上がってきた……福岡県の沖合、玄界灘にうかぶ小さな島での7年間の調査・研究の様子を、いきいきと再現します。
動物を研究するとはどういうことなのか。どのように研究するのか。著者はあとがきで、つぎのように述べている。
「みなさんのなかに、将来、動物をあつかった仕事をしたいという人、ノラネコのことをもっと知りたいという人がいましたら、この本に書いてある七つ道具を手にして、身近に住んでいるノラネコを観察してみてください。人間にとって、もっとも身近の野生動物の1つ、それがノラネコです。」
もくじ
第1章なぜノラネコ研究
1:ノラネコって何?
ある真冬のできごと
ノラネコとは?
イエネコの誕生
2:わたしがノラネコの研究を始めたきっかけ
野生の王国シンドローム
ノラネコをやってみない?
3:ノラネコの研究の意味
姿を見ることのできる動物
ノラネコは話題の最先端?
4:世界のノラネコ研究者たち
ノラネコロジー?
世界のノラネコロジスト
第2章だれにでもできるノラネコ研究ことはじめ
1:ノラネコの個体識別と名前つけ
ノラネコの特徴を識別カードに書いてみよう
ノラネコに名前をつけよう
2:調査七つ道具と観察のコツ
かんたんにそろう調査七つ道具
観察する時のコツ
調査の注意点
3:行動圏(ホームレンジ)からわかるノラネコの社会
決まったルートを何度も歩いて観察
「ルートセンサス」
ノラネコの行動圏(ホームレンジ)を調べてみよう
ノラネコ研究のヒントとアドバイス
第3章わたしのノラネコ研究
1:わたしの研究テーマ
九州大学大学院理学研究科生態学研究室
ノラネコの何がおもしろいのだろう?
体が大きくて強いオスが本当に有利?
遺伝子を使った夢の技術
2:わたしのノラネコ研究
ノラネコのたくさんいる島
相島での生活
ショウジョウバエの研究室に弟子入り
エサ場を中心としたクループ
発情期にそなえて
オスネコの体の大きさを測る
「わないらず」で大成功!!
体の大きなオスネコがケンカに強い?
いよいよメスが発情する季節
発情メスをめぐるオスの順位
交尾もやはり?
ほかのグループへの遠征
DNAを調べて親子(父子)判定
予想外の結果
ギャップを説明するもの?
【著者】山根 明弘(やまねあきひろ)
1966年、兵庫県西宮市生まれ。九州大学理学部卒業。理学博士。国立環境研究所、京都大学霊長類研究所を経て、現在、北九州市立自然史・歴史博物館学芸員。専門は、動物の生態学と集団遺伝学。最近はサウジアラビアのマントヒヒの生態も研究している。著書に『日本動物大百科 第1巻』(平凡社、分担執筆)などがある。福岡県宗像市在住。