コルドバをあとにして

■コルドバをあとにして

ドリット・オルガッド作
樋口範子訳
定価:本体1700円+税
判型・体裁:四六判/320ページ
発行年月:2005年2月
ISBN978-4-378-00789-2
NDC929

【内容】
 十七世紀のスペインを舞台に、異端審問をうけて投獄された母親を、ユダヤ人少年が奇跡的に救出するまでを描いた作品。宗教を越えた力で、人々がたがいに尊重しあい、困難を乗り越えて絶望せずに助け合っていく描写に、作者の間口の広さ、寛容さを感じ取れる。現在の世界情勢でもっとも欠けている「宗教、民族の和平」への意識が、うなりとなってせまってくる作品。
 イスラエルの作家が、2回の綿密な現地取材を経て書き下ろした歴史児童文学。

ばら色の絵が、とつぜん闇にしずんだのは、今は見知らぬ人たちがその家に住んでいると気づいたからだ。自分の生まれた街に、ぼくはもうけっしてもどらない。コルドバをあとにするのはこれで2度目、そしておそらく最後になるだろう。ぼくのこころの中の小さなとびらがそのときそっと閉まった。あのうつくしい街をながめることも、なつかしがることも、これっきりにしよう。 (……本文より)

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