六号病室のなかまたち

作:ダニエラ・カルミ
訳:樋口 範子

ISBN978-4-378-00764-9
定価:本体1300円+税
小学上級~中学生向き
NDC929

イスラエル人の病院に手術のため入院したパレスチナ・アラブ人の少年が、同室の子どもたちと民族・生活環境のちがいをこえて、心を交わしあうまで。
過酷な現実を描きながらも、さわやかな読後感をおぼえる作品。

日本の読者のみなさんへ
わたしがこの本を書いた1993年、イスラエルはパレスチナ・アラブ人との和平案に合意、調印する方向へとすすんでいるところでした。ところが1995年、左派政党労働党のひとりであるラビン首相が、不幸にも同じイスラエル人右派の青年に暗殺されたのです。こうして平和への道はとざされ、その後の選挙のたびに政策が変わり、イスラエル・パレスチナ問題は解決どころか、今もなお激しく闘いがつづいているという現状です。
パレスチナ・アラブ人サミールとイスラエル人ヨナタンとの友情をえがいたこの本を、日本の子どもたちや若い読者が、こころをわくわくさせながら読んでくだされば、わたしはとてもうれしく思います。こういう友情は、世界中どこの子どものあいだでも、生まれるでしょうね。なぜなら子どもや若者は、おとなより正義感が強く、思いやりにたけて、実はもっとも論理的でさえあるからです。
本のなかのヨナタンが考えるように、もし一人ひとりが自然界すべての生命を大切にすれば、この地球はまさに楽園になりうるでしょう。たしかな感性をもつあなたも、その仲間のひとりだと、信じています。地球というこのひとつの惑星で、動物と人間が智恵と寛容で共存できれば、わたしたちには土地、食糧、そして資源がかならず充分に分けあたえられるはずです。
未来はあなたがたの手にあるというひとことを、遠いイスラエルよりメッセージとしておくります。

     2001年10月
 ダニエラ・カルミ

新刊

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    何しゃべってるの? 編
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