ぼくはマサイ ライオンの大地で育つ

著:ジョゼフ・レマソライ・レクトン
訳:さくまゆみこ

定価:本体1500円+税
判型・体裁:四六判/164ページ
発行年月:2006年1月
ISBN978-4-378-03404-1
NDC284

・書評
2022年4月21日 朝日小学生新聞 2面「朝小図書室 名作これ読んだ?」

【内容】

ケニアの小さな丘の中腹にある美しい緑の村で生まれたひとりの少年が、おとなになっていく過程を自ら語っている。ジョゼフ・レマソライ・レクトンは、マサイの一員として遊牧民の暮らしの中で育った。家族の中で一人だけ学校へ通うことになったレマソライは、家族の伝統的な暮らしぶりと、学校で教わる西洋風のやり方の間で引き裂かれる。二つの文化の間でバランスをとろうと努力するなかで、彼はそれぞれの世界で学んだことを用いて、もう一つの世界の問題を解決する術を身につけていく。
レクトンの子ども時代の思い出は、二つの世界の間を行き来する姿を生き生きと浮かび上がらせる。彼は、村のつねり屋を逃れたかと思うと、学校ではいじめっ子と対決する。彼は牛のぬれた鼻をなめて干ばつを生き延び、学校の休みに帰省する長旅の途中で銃を持った密猟者から身を隠す。彼は伝統的な風習である割礼を受け、ケニア大統領のためにサッカーで活躍する。彼は初めてのライオンに立ち向かい、アメリカの大学に入るため故郷を出発する。
人間的で感動的でユーモアに富んだこの現代のメモワールは、伝統文化を間近に観察した記録であり、一人の若者の発見の旅としても面白い物語だ。


【著者紹介】ジョゼフ・レマソライ・レクトン
遊牧民の子として、ケニア北部に生まれる。十代の終わり近くになって、アメリカに渡り、セント・ローレンス大学で文学士号と修士号を取得し、ハーヴァード大学では国際教育政策の修士号を取得する。現在は、ヴァージニア州北部にあるラングリー校で歴史を教えるかたわら、一年の半分をケニアで暮らす。
ケニアでは、田舎の地域社会発展プロジェクトに積極的にかかわっているほか、いくつかの非営利組織と協力して、百人以上の遊牧民の子どもたちに奨学金を提供している。国への多大な貢献により、ケニア大統領から「偉大なる戦士勲章」を最年少で授与された。

新刊

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    何しゃべってるの? 編
  2. 生きものたちのスゴ技図鑑
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  4. おとうさんは103さい
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