サリーの帰る家


■サリーの帰る家

エリザベス・オハラ=作
もりうち すみこ=訳

定価:本体1700円+税
判型・体裁:四六判/296ページ
発行年月:2010年4月
ISBN978-4-378-01485-2
NDC933

<サリーの青春>三部作
・サリーの帰る家(本書)
・サリーのえらぶ道
・サリーの愛する人
【内容】
本好きのサリーは夢想家ではあるが、待ち受ける運命は、百年前のアイルランドの国情を映して厳しい。しかしサリーは運命を受け入れ、未知の世界に果敢にとびこんでいく。父の死により、遠い農場で働くことになった十三歳の少女が、他人を思いやって信頼のできる一人前の娘になるまで。情景描写や心理描写も巧みにえがかれ、あきさせない。
【本文より】
「おまえたち、ふたりともはたらきに出てもらいます。10月の終わりごろにミルフォードで、雇い手がやとわれるものをえらぶ市が立つの。そこに行って、ふたりとも、だれかにやとわれなくちゃならない。それが期限までに地代を払うたったひとつの方法なの。それまでは、学校に行ってもいいけど、市のあとは、学校はあきらめてもらいます」
 ケイティは押し黙っている。
 サリーはさけんだ。
「雇われ人の市? それって、奴隷と同じじゃない! 『アンクルトムの小屋』そのものだわ! そんなもの、行かない。母さん、いやよ!」
 母親は、立ち上がり、ひとこともいわず、テーブルから離れた。
【作者】 エリザベス・オハラ
 1954年、アイルランド、ダブリン生まれ。国内外の複数の大学で、古英語、古アイルランド語、民間伝承を研究し、アイルランド国立図書館に勤務しながら、多くの作品を発表している。大学で教鞭をとるほか、欧米各国で講演活動もおこなっている。

【訳者】 もりうち すみこ
福岡県生まれ。訳書『ホリス・ウッズの絵』(さ・え・ら書房)が産経児童出版文化賞に、訳書『真実の裏側』(めるくまーる)が同賞推薦図書に選ばれる。他の訳書に『ヨハネスブルクへの旅』『リリー・モラハンのうそ』(共にさ・え・ら書房)、『キルトにつづる物語』(汐文社)、『ベニー・フロム・ヘブン』(ほるぷ出版)、『ドリーム・アドベンチャー』(偕成社)などがある。

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